先日小学生の娘が、木偏の漢字を書くという宿題をしていました。もっと木偏の漢字はないかと娘に聞かれたものの、思いつかず漢和辞典を開いてみると、木偏の漢字がたくさんあることにびっくり。また「この漢字がこんな木のことだったんだ」という新たな発見がありました。
|同じ読み方でも漢字が違うモミジ

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モミジといえば漢字で書くと「紅葉」という字が思い浮かびます。秋に赤く色づくのがモミジであることは誰もが知ったところですが、モミジという植物はなく、秋に紅葉するカエデ類の総称をモミジと呼んでいます。「紅葉」と書いて「こうよう」と読んだり、「こうよう」でも黄色に色付くものは「黄葉」と書いたりします。同じ漢字でも読み方が違う、同じ読み方でも漢字が違う、日本語の複雑なところかもしれません。
|木の葉が花のように色づくモミジ

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実は、そのほかに木偏に花と書く「椛」という漢字も「もみじ」と読みます。もともと中国では「椛」という漢字はなく、日本人が「樺(かば)」という漢字の「華」の部分を「花」に置き換えて生まれた漢字なのです。本来「椛」は樹木のカバを意味するものでありながら、木の葉が花のように色づく様子から「もみじ」という読み方が新たに与えられたものなのです。
|一つの漢字が二つの樹木を表す

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「椛」は「椛沢」や「椛島」といった苗字や地名などで見られる漢字でしたが、2004年から人の名前に使うことができるようになりました。漢字の一部に花が使われていると、可愛らしいイメージなのか、女の子の名前に使われるようになってきているようです。漢和辞典の「椛」の部分には「もみじ」の意味のほか「樺の略字」と記載されています。同じ漢字でありながら、二つの樹木を表すとはなんとも不思議な感じがしますね。
|まとめ
「椛」という漢字が「もみじ」と読むとは、新たな発見でした。娘の宿題がなければ、「かば」とは読めても「もみじ」とは、私はずっと知らないままだったかもしれません。今回の5回シリーズは「木にまつわる漢字の話」と題して、木や植物に関連した漢字についてお送りしていきたいと思います。